2001年度 (東京大学工学部都市工学科 学部4年生オムニバス課題 2001/6/5(水)〜7/11(金))
プランニング演習:「21世紀の開発のあり方を考える〜臨海副都心でのケーススタディ〜」
作成: 2001.7.17
更新: 2001.8.28
| このページでは、2001年6〜7月にかけて私が担当した、工学部都市工学科の学部4年生向け演習の解説をしています。日本において将来の都市計画・プランニングを担う若い人材を育てるための演習のあり方について、それほど年齢に違いもなく、自身の経験や知識も十分とはいえない私ですが、自分なりの考え方を元にまとめ、それを実践してみたものです。これをご覧の皆様、特に都市計画関連の教育に重視されている方々には、是非ご意見をお伺いしたいと思っております。 ご意見をお待ちしております。瀬田 史彦:webmaster@regionalplanning.net |
1.演習の趣旨
東京大学工学部都市工学科の4年生は、2年生の冬学期からこの時期までに既に都市計画、プランニングに関する基礎知識や基礎的技量について、同学科を中心とする講義や演習によって身につけている。しかし、より広域的な見地からみた都市圏レベルでの視点や、施設計画にとどまらないより包括的な開発のあり方について学生達に問い、具体的な計画立案における発想の方法、及びそれを企画・計画という形でまとめる能力を身につけさせるため、開発当時から様々な話題があり、また関東では学生の中でもなじみが深い臨海副都心地区(台場・青海・有明北・有明南)を対象に、約1ヶ月の期間の演習を行った。
演習は、同学科4年生約40人のうち、複数の課題の中から本課題を希望した9人(参加した学生)に対して教官一人(瀬田)が適宜指導する形で行った。演習は便宜的に2つのタームに分け、
第一タームでは臨海副都心内の現状分析を、「業務班」「商業班」「住宅班」の3つに分けて行い、それぞれの視点で現況と今後の開発のアイデアになりそうなものをピックアップして中間報告書としてまとめ、同時に中間発表を行い、担当教官以外の7〜8名の教官の質疑応答を受けた。
第二タームでは、前タームで検討した現状分析を元に、臨海副都心内の具体的な計画案をまとめる「域内グループ」と、より広域的な視点から計画の実現可能性を検討する「広域グループ」に分け、域内グループがそれぞれの地域で斬新かつ具体性のあるアイデアを練り、それを広域グループが現状分析を踏まえて実現性を検討して計画の実現性を説得力ある形で表現する、という目標を元に開発計画を立案し、最終報告書としてまとめ、最終発表を行って、再度教官らの質疑応答を受けた。この両タームの間に、臨海副都心の開発に実際に関わったプランナーを招聘して講義を開催し、学生自らの計画の参考とさせた。
演習の中での教官の役割は、
@現状分析に必要な資料を提供する(文献・リンク等)
A定期的(週に1〜2度程度)に学生からの進捗状況を聞いて報告書作成や発表の方向性について議論する
といったことに限られ、計画自体のアイデアやその裏付けについては、学生の創意工夫に任される。しかし特にAについては、学生たちの計画立案のプロセスの中で、これまでの基礎知識や基礎的技量の修得とは違う、創造的発想力・論理的思考力・説得力といった、実際の計画策定に必要かつ教科書・参考書等では修得させることが難しい技能を修得させるため、意識的に学生に問うことを重視して議論を行った。
2.演習の流れと様子
演習は合計で1ヶ月間、それが前半部と後半部に分かれ、それぞれの最後に学科でジュリー(Jury)と呼ばれる発表会を催して成果を報告する。流れは以下の通りとなっている。
(1)前半部
| 「業務」「住宅」「商業」の3班に分けて臨海副都心地域の分析を行う。 @業務:東京都の報告書等による臨海副都心地域の業務集積の位置づけを定性的にレビューし、他方で臨海副都心や都内のその他の地域にどのような産業が分布しているかを定量的に検証して、臨海副都心の現在の位置づけを検証する。また他の地域の開発計画等もレビューしておく。その後、今後の臨海副都心地域の業務集積のあるべき姿・方向性を提言する。 A住宅:東京都等の都心居住や今日の居住形態に関する報告書における臨海副都心の位置づけをレビューし、他方で臨海副都心での住民像の実態を定量的に検証し、将来的な住宅整備の方向性を検討する。その後、今後の臨海副都心地域の住宅地域のあるべき姿・方向性を提言する。 B商業:東京都内や近郊の主な商業集積を定性的、定量的に比較し、臨海副都心の現在の位置づけを定める。現在様々な可能性と課題を持っている臨海副都心地域の商業地域の基本的な性質をまとめる。その後、今後の臨海副都心地域の商業集積のあるべき姿・方向性を提言する。 |
6月 5日(火) 課題説明
6月 6日(水) 分析・文献レビュー
6月 8日(金) 文献レビュー
6月12日(火) 分析
6月13日(水) 分析結果討論
6月15日(金) 討論を踏まえて現状報告書の作成開始
6月19日(火) ジュリー用意
6月20日(水) 中間ジュリー・後半説明
(2)後半部
| 「広域」「域内」の2グループに分けて、対象地域の開発方針を策定する。最終報告書は両グループの見解を統合して1つにまとめたものを提出する。 後半部の途中では、臨海副都心の開発に詳しい平本一雄氏にご講義を頂く機会を得、さらに学生側が議論の末に得た暫定プランについても忌憚のない意見を頂いた。 A広域:業務・住宅・商業を含めた臨海副都心の広域的な位置づけ(明確なコンセプト、客観的データによる根拠付け、他の既存集積地域や大規模開発計画との差別化)を提示、広域的な開発方針としてまとめる。提案は域内計画との整合性が取れている必要があり、広域的な要求を域内計画にブレークダウンするよう、「B域内グループ」と密な議論を交わし整合性を保持する必要がある。 B域内:業務・住宅・商業を含めた臨海副都心地域内の各地区を性質づけ、地区相互の関係性等を示しながら臨海副都心地域全体として一体的な開発方針を策定する。提案の中には、IT企業集積の誘致、SOHO住宅、コーポラティブハウスなど21世紀型の斬新な発想と同時に、各地区間、及び「A広域グループ」による広域的な開発方針との整合性が求められる。 |
6月22日(金) 開発方針についての議論(1)
6月26日(火) 開発方針についての議論(2)
6月27日(水) 開発方針についての議論(3)
6月29日(金) 平本一雄氏(三菱総合研究所)レクチャー
7月 3日(火) レクチャーを参考にしながら再度議論
7月 4日(水) 最終報告書についての討論
7月 6日(金) 最終報告書作成
7月10日(火) ジュリー用意
7月11日(水) 最終ジュリー
3.演習に関連する資料
・演習の設定についての資料
演習企画 説明書
参加した学生とグループ分け
・演習に利用した臨海副都心関連資料
演習に使用した文献(演習企画 説明書の末尾をご参照)
演習に使用したリンク集
・中間報告書・プレゼンテーション(PDFファイル/MSPowerPointからのhtml変換ファイル)
業務 <報告書>(57kb) <プレゼンテーション>(MSPowerpoint File)
商業 <報告書>(31kb) <プレゼンテーション>(MSPowerpoint File)
住宅 <報告書>(162kb) <プレゼンテーション>(MSPowerpoint File)
・最終報告書・プレゼンテーション(PDFファイル/MSPowerPointからのhtml変換ファイル)
最終報告 <報告書>(761kb) <プレゼンテーション>(MSPowerpoint File)
お問い合わせは・・・瀬田史彦 webmaster@regionalplanning.net まで。 [戻る]